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劇場アニメ 『コードギアス 復活のルルーシュ』 レビュー

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公式サイト



概要

光和2年。
世界は再編成された超合集国を中心にまとまり、平和な日々を謳歌していた。
しかし、平和は突如として終わりを告げる。仮面の男・ゼロとして、ナナリーの難民キャンプ慰問に同行したスザクが謎のナイトメアフレームに敗れ、
2人は連れ去られてしまった。
シュナイゼルの密命を受け、戦士の国・ジルクスタン王国に潜入したカレン、ロイド、咲世子はそこで、謎のギアスユーザーに襲われる。
そして、その場には襲撃者に“元嚮主様”と呼ばれる、C.C.が居た。

かつて神聖ブリタニア帝国の大軍すらも打ち破った無敵の王国を舞台に、人々が描く願いは、希望か絶望か。
果たして、ギアスのことを知るジルクスタン王宮の面々と、C.C.の思惑とは——。

(公式サイト・あらすじより)

紹介不要な人気シリーズ・コードギアス
総集編劇場版三部作の果てに迎えた、待望の完全新作。
果たしてルルーシュは本当にタイトルの通り、復活するのだろうか?
復活したのなら、どのような展開が待っているのだろうか?


五段階評価

★★★★★


合う人・合わない人

  • 合う人
    • コードギアスシリーズのファン
    • 各キャラクターの「その後」が気になる人
    • R2のエンディングに心残りを感じた人
  • 合わない人
    • コードギアスシリーズを知らない人
      • 劇場版三作を観てからにしましょう!
    • ゼロレクイエムが最高の締め方で、これ以上引っ張るべきではないと思う人
    • 既存の各キャラに対するイメージを変えたくない人

短評

あの衝撃の結末から、もうすぐ12年。
前座となる劇場版三部作には一部TV版とは異なる展開があったため、
新作には期待半分不安半分といった感じだったが、
いざ蓋を開けてみると、非常に出来のいいファンディスクだった。

本編のエンディングが評価が高かったが、その性質上、心残りを感じた人もすごく多いはず。 君もその一員であれば、ぜひこの作品を鑑賞しよう。
ファンディスクと言っても、この作品のストーリーはしっかりしていて、立派な「コードギアス」だ。
ルルーシュで始まりルルーシュで終わる「コードギアス」は、これにて本当の閉幕を迎える。


感想(※ネタバレあり)

  • ルルーシュの復活について

    正直、不安だった。

    『R2』は途中の展開が暴走気味だったとはいえ、アニメ史に残る最高のエンディングで失点を取り返し、
    コードギアス 反逆のルルーシュ』を名作と決定付けた。

    シャーリーが大好きなキャラなので、劇場版で彼女が生き残ったと知った時は本当に嬉しかった。
    それだけでなく、彼女が他のキャラでは出来ないような活躍をしたと知った時は、ああ、ようやく報われたなと涙が出そうになった。

    しかし。ルルーシュは本当に復活していいのだろうか。
    ルルーシュが死んでこそのゼロレクイエムではないのか?
    ルルーシュが軽々しく復活したら、我々ファンの気持ちは、作中の各キャラの気持ちは、どこに向かえば良いのだろうか。
    何よりも、ルルーシュ本人は、ナナリーや世界のためとはいえ、嘘をつき、相手の意思を捻じ曲げることで、自分の目的を叶えてきた。
    こんな彼が、『R2』の最後に、世界のために自分の命や存在を捧げたによって、最終的なキャラクターが確立され、聖人とも言えるイメージとなった。
    だが、復活してしまった場合、この行為さえも打算の一環のように見えてしまい、「結局自分のために嘘にまみれた偽善者だ」という印象を与えてしまう。
    正直、PVが解禁されるまでは「ルルーシュは本当に復活せず、ただし何らかの手段でストーリーに干渉する」という手を取るのではないかと思っていたし、PVを観てからは「これはうまく話を纏めないとかなりのファンの反感を買ってしまうのでは…」と心配していた。

    いざ鑑賞すると、なるほどこれはうまいと思わず手を打った。

    まず、ルルーシュ本人はあくまで死ぬつもりで、復活するのはC.C.のわがままだった。
    皇道の時点で、この可能性が十分にあると匂わせたし、こうでなければ話はうまく纏まりそうもなかった。
    C.C.だけが、この行動を実施する動機も能力を十分に備わっているし、こうすればルルーシュは嘘つきに逆戻りせずに済む。
    さらに、スザクをはじめとしたキャラクターはまるで視聴者の気持ちを代弁するかのようにルルーシュの復活を責め立てたし、ルルーシュ本人はその呵責や暴力を弁解しようともせずに受け入れた。
    ここまでやればまぁよっほどこだわる人でない限りは納得するだろう。少なくとも自分は納得したしホッとした気持ちだった。

  • 復活してどうするの?

    ルルーシュがみんなが納得した形で復活を遂げたのはよかった。しかし、次に心配だったのは、果たして十分に活躍できるのだろうか?

    PVを観た限りでは新しい勢力による脅威が出現したようだが、そもそも世界には大規模な反抗勢力は既に存在しないはずだし、スザク&カレンという最高の武力と、ルルーシュ&シュナイゼルという最高の知略が揃った超合集國の前では多少強い程度の敵では全く歯が立たないはずなので、どのようにルルーシュが活躍するような危機を作り出すのか疑問に思った。
    蓋を開けてみれば簡単で、「時間を巻き戻す」という、古典的でありながら強力なギアス能力を持つ敵が、ルルーシュたちの前に立ちはだかった。
    近年では『シュタゲ』や『リゼロ』で世間に知り渡ったこの手の能力は、そのあまりの強力さで、基本は主人公が持つような能力だ。今回は「6時間」という制限があるとはいえ、やり直しが効くのであれば、よっほどの計略でなければ対応可能だし、武力差も圧倒的なものでなければ逆転可能となる。その上で「武力の国」という設定を作り込み、外交的な理由で超合集國に主力を出せないように制限しつつ、相手側に十分な戦力を用意した。これもうまいと感心せざるを得なかった。

    そうやって、本来は圧倒的な優位に立つはずのルルーシュがこれまでにないような危機に追い込まれた。諦めかけたルルーシュは新鮮で面白かったし、その後のC.C.の反応も観られて心から良かったと思った。本編にあっても良かった「未知のギアスを推理し対応する」展開はとても熱く、感服した。 もちろん、監獄から脱出する際の活躍も気持ちのいいもので、一期の2話を彷彿した展開が、視聴者に懐かしさを感じさせつつ、ルルーシュの天才っぷりを思い出せた。ここでしっかり上げたから、その後の危機も一際厳しいものに見えたので、全く無駄がなかったね。

    あと、この敵の設定について良かったと思ったのは、ルルーシュの活躍の場を作り出すためだけの道具ではなく、「ルルーシュが良かれと思って作り出した一見完璧な世界にも、逆に苦しんでいるがいる」というアンチテーゼを示し、視聴者に考えさせた点だね。

  • うまさはもうわかったから、ぶっちゃけどうよ?

    正直言うと、不満も全くないというわけではない。
    自立したナナリーの活躍が観たかった。
    カレンとルルーシュがもっと話すところが観たかった。
    シャーリーとルルーシュがまた話すところが観たかった(エンディングの一枚絵で割と満足しちゃったが…)。 何より、ルルーシュの活躍から始まり、その死に終わるR2の結末があまりにも美しかったため、その美しさが壊れたことに残念を覚えた。

    しかし、全ての視聴者のわがままを満たせるような作品は存在しえない。これ以上のものを求めるのは酷以外の何物でもないだろう。

    本編とは少し変わった、しかしながら変わらなかったルルーシュが観られた。 本編ではついに実現しなかった、スザクとカレンの夢のタッグが観られた。
    アーニャが再びモルドレッドに乗って活躍する姿が観られた。 一枚絵とは言え、シャーリーの報われた涙が観られた。 そうそう、扇がルルーシュに謝罪するところも観られた(笑)。
    何より、本編から最も孤独で、最も努力してきたC.C.の、幸せな笑顔が観られた。
    他にも数え切れないほどの、観たかった各キャラクターの「その後」が観られて、正直やりすぎとさえ言えるような夢のシーンの集合だった。
    ここまで出来のいいファンディスクを前に、一介のファンとしての自分は、「大満足」という一言以外、何が言えるのだろうか?

    君がコードギアスという作品を気に入っているのであれば、どうか今のうちに映画館に行って、この感動を体感していただきたい。
    そのあとに、この記事では到底語り切れないような気持ちを、僕と語り合おう。